入間川編③名栗川・名栗湖コース

 

JR八高線・東飯能駅から国際興業バス唐竹橋で降りる。左岸一般道(旧道)を歩き、名栗川橋を過ぎ、有間橋を右岸に渡って入間川を離れ有間川左岸に移る。さわらびの湯を過ぎれば上り道となり有間ダム天端となる。名栗湖湖岸を左岸から一周(5.4km)する。このコースの全長は訳13.7kmと短い。2.5万分の1地形図は原市場である。

 

図-2.4名栗川・名栗湖コースルート図
図-2.4名栗川・名栗湖コースルート図

 

  唐竹橋(写真-2.10)は橋の欄干には名栗川・水明橋の銘板があり、以前はこういう名前だったのであろう。

  右岸に新道ができ路線バス以外のほとんどの車はそちらに向かうので、左岸旧道は快適に歩ける。川に近接しており、気分がいい。

  堺橋から先にはたくさんの道祖神があり、趣味のある人には興味深いであろう。

  諏訪橋から四海橋の間はカジカガエルの保護区である。カジカガエルは和名:河鹿蛙と言い、昆虫・クモなどの動物食性で、オスは縄張りを主張して繁殖音を出し、和名の河鹿はこの声が牡鹿に似ていることが由来である、と説明されている。

  名栗川橋(写真-2.11)は大正13(1924)に造られ、当時の姿をそのままとどめて供用されている鉄筋コンクリートのアーチ橋で、この形式は埼玉県内では最古であると言われている。橋長31.4m、幅員3.9mと小さな橋だが、昭和57(1982)に土木学会賞、平成11(1999)に近代文化遺産として埼玉県の有形文化財に指定されている。

 新四海橋を過ぎた所に、道路に面して旧名栗郵便局(写真-2.12)がある。雰囲気からいかにも文化遺産であると見るがそのような案内はない。

写真≇2.10唐竹橋
写真≇2.10唐竹橋
写真=2.11名栗川橋
写真=2.11名栗川橋
写真-2.12旧名栗郵便局
写真-2.12旧名栗郵便局

 

 秩父方面と分かれて有間橋を右岸に渡る。これから入間川とは離れて有間川に入る。

  有間橋を右岸に渡るとすぐの所に「武州世直し一揆」の説明がある。それによると1866613日に上名栗村が発端となって起こった一揆は、以後7日間にわたり関東各地202村に広がり10万人が関わったという大規模なものであったとのことである。

 その先に「さわらびの湯」があり、同名の国際興業バス停がある。ここから急な登り坂となり、有間ダム天端に至る。荒川合流点から52kmである。有間ダムは、埼玉県営でH=83.5mL=260mV=169万㎥の中央遮水型ロックフィルダムである。ダムの天端は曲線となっており、洪水吐はトンネル式で名栗湖右岸寄りに流入口が見られる。

  有間ダムの貯水池は「名栗湖」と呼ばれ、15.4kmとされる。

  左岸湖岸を上流に向かうと有間ダム管理所があり、ダムカードを貰える。川越高校同窓会による「川高初雁の森」がある。 

  正面に原石山跡地が見え、その説明がある。169万㎥のダム盛り立て量のうち土質材料を除く岩石材料150万㎥をここから採取したとのことで、古生代二畳系の秩父古生層チャート・粘板岩の互層である。法面には多数のアンカーが施工されているが、去る平成26(2014)5月に来た時は通行止めであった。層理面の流れ盤すべりが発生していたようである。

  「カヌー工房」は文字通りカヌーを作っており、土産物屋もある。

  支流の橋の上には多くの釣り人をみかけた。また大きな望遠カメラと三脚を持ったバードウオッチャーも多い。

  名栗湖の最上流の橋は瀬橋でここから右岸湖畔となる。

 ダムの近くにトンネル式洪水吐の流入口が見える。この技術が土木学会賞を受賞した。

写真-2.13有間ダム
写真-2.13有間ダム
写真-2.14有間ダム原石山跡
写真-2.14有間ダム原石山跡
写真-2.15トンネル式洪水吐
写真-2.15トンネル式洪水吐

左岸に行き、再びさわらびの湯まで戻り、国際興業バスでJR八高線・東飯能に向かう。