江戸川編④利根運河コース

 

利根運河は、明治23(1880)に完成した日本初の西洋式運河で、当初は始点を利根川右岸、終点を江戸川左岸としていたが、 明治39(1896)の洪水被害により河底高さが変わり、始・終点が逆になった。流れがほとんどないため、上下流・左右岸の判定に迷うのでここでは北岸・南岸と呼ぶことにする

  利根川は関宿で、銚子に至る現利根川と東京湾に向かう現江戸川とに分流されたが、東北地方太平洋岸と江戸を結ぶ水運ルートとして房総半島をまわるルートのほかに、銚子から利根川に入って遡り関宿を経由して江戸川を下るルートが開拓された。さらに40km短縮ルートとして明治23(1880)年に民間資本で利根運河ができ、これによる銚子・江戸間は汽船で6時間短縮され、144km18時間で結んだ。しかし 明治40(1897)年にいまのJR総武線が開通するとわずか4時間でつながれ運河の長距離航路はわずか20年程度で消滅した。さらに明治27(1884)の洪水被害と昭和初期の台風による水堰橋損壊などで航行不能となり、以後国の管理で利根川洪水の分派の役割となった。平成2(2000)に派利根川から利根運河に名称変更された。平成18(2006)に土木学会が土木推奨遺産に、また2007年度には経済産業省が近代化産業遺産に認定している。

  利根運河は延長8㎞で、往復すれば一日の歩行コースとしてちょうどいいと考えた。東武アーバンパークライン運河駅から反時計回りに利根運河を一周する形で約16.7kmである。コースのルートを図-5.5に示す。2.5万分の1地形図は守谷・流山である。

 

図-5.5利根運河コースルート図
図-5.5利根運河コースルート図

 

東武アーバンパークライン運河駅が運河のほぼ中間になり、駅は南岸になる。ここに運河橋・東武線橋梁・ふれあい橋が並んでいる。ふれあい橋(写真-5.28)は歩道橋(水道橋)で、北岸の東京理科大学に行く近道となっている。

  南岸を右の利根川方向に行く。

  眺望の丘(写真-5.29)は小高い所から利根運河を見下ろせる。

  柏大橋の手前脇に「大青田貝層」の説明看板があった。前回(2012.10)来た時には下総層群木下層の貝化石密集層という説明があったが今回(2018.5)は見当たらなかった。

  水堰橋は利根川右岸をそれと平行に走る国道6号線の橋梁である。

  運河水門(写真-5.32)は利根川から運河を通り江戸川への水量を制御する。

  そのまま直進すると利根川右岸堤防上のサイクリングロードとなる。正面に利根川橋とつくばエクスプレスが遠望され、「海から95.5km」の距離標のすぐ先にある樋管脇から階段を下りる。萱が生い茂った中を戻る方向に進むと水路橋となる。これを運河北岸に渡り、河川管理道路で運河水門に戻る。

 

写真-5.28ふれあい橋
写真-5.28ふれあい橋
図-5.29眺望の丘
図-5.29眺望の丘
写真-5.30運河水門
写真-5.30運河水門

 

運河水門北岸に運河公園(利根運河一里塚)がある。利根川右岸のサイクリングロードがここに合流する。運河説明看板や四阿(写真-5.31)・ベンチがあるがトイレは見当たらない。

  ここからは往きのコースの対岸を逆行することになる。堤防の左右どちらも高さ67m、幅23mのサイクリングロード(写真-5.32)で、歩いているとまさに「堤防を往く」が実感できる。

  ふれあい橋・東武線橋梁・運河橋に戻ってきて、運河水辺公園に入る手前にBILLIKENと書いた像がある。金色で仏像のような恰好であるが何の説明も無く、やや胡散臭い感じである。運河水辺公園には利根運河の詳しい歴史説明や利根運河碑・ムルデルの碑(写真-5.33)などがある。ムルデルというのはオランダ人で設計・指導に貢献した人とのことである。

 

写真-5.31運河公園四阿
写真-5.31運河公園四阿
写真-5.32運河北岸サイクリングロード
写真-5.32運河北岸サイクリングロード
写真-5.33ムルデルの碑
写真-5.33ムルデルの碑

 

運河には遊歩道のための浮橋(写真-5.34)があり、水位標も子供が喜びそうなデザインでよく整備されている。運河水位観測所は江戸川から2.5kmにあり昭和52(1977)8月から観測開始し、過去の最高水位は平成13(2001)911日の9.360mとのことである。

  運河水管橋(写真-5.35)、運河大橋を過ぎて江戸川に出ると運河河口公園(写真-5.36)があり、サイクリングを楽しむ人達の休憩所となっている。排水樋管は数多くみかける構造物であるがどれも機能本位の素っ気無いものばかりである。しかしここには観光用に装飾したものがあり他の河川では見ない。

  新深井新田橋で折り返して、前述の運河水辺公園の対岸に来ると排水樋管展望回廊跡がある。樋管構造物を利用して観光施設にしたものであったが、上屋は撤去されていた。前回来た時にはなかなか面白いもの、と感心したのだが。

  以上のルートを歩いた結果、実歩行に要した時間は270(4時間半)であり、休憩を加えても6時間でゆっくりの行程で十分である。戻りも東武アーバンパークライン運河駅である。

 

写真-5.34運河水辺公園浮橋
写真-5.34運河水辺公園浮橋
写真-5.35利根運河水管橋
写真-5.35利根運河水管橋
写真-5.36運動河口公園
写真-5.36運動河口公園