荒川の最上流のコースで、三峯口から一般道を強石堰堤、金蔵落しの渓流、三峯神社鳥居、神庭洞窟遺跡、大滝温泉、三十槌の氷柱を経て二瀬アーチダムまでの約19kmである。図-1.7にこのルートを示す。2.5万分の1地形図は三峰である。
秩父鉄道・三峯口駅から右岸一般道路を行く。三峯口駅は秩父鉄道の終点で鉄道車両公園があり、SL「パレオエクスプレス」が来る。このパレオは、長瀞付近の結晶片岩がPaleozoic古生代であることや皆野町で発掘されたパレオドキシア(1500万年前の海獣化石)から命名されたものであろう。
三峯口駅から少し行くと白川橋となる。この周辺にはバンジージャンプなどワイヤを使った空中アトラクションを楽しめる「秩父ジオグラビティパーク」が2018.7に開園した。
橋は渡らず直進して右岸の脇道に入る。「熊出没注意」の看板があり、人も車も全く会わず緊張する。見るものは六角堂ログあずまやしかなく、白川橋から対岸に行くのが無難かもしれない。
万年橋まで行くと右岸道路はなくなり、左岸の彩甲斐街道に渡る。ここに東京発電㈱の大滝発電所・大洞第二発電所と下方に強石堰堤(写真-1.37)が見える。彩甲斐街道は山梨県につながる国道で通行量が多いが、ここは歩道があり危険は感じない。しかし大日向山太陽寺入口から後は歩道が消滅し、やや要注意な状況になる。
三峯神社鳥居をくぐり、赤い登竜橋を渡ると三峯神社本社への参道である。山頂の神社に行こうとする人は、本社までは52丁とのことなので5km以上あり、気持ちはロープウェイに向かうであろう。この参道に入るとまもなく右方向・神岡の道標があり、それに入る。大輪・神岡歩道である。途中竜門の滝があり、神庭洞窟遺跡(写真1-39)に着く。石灰岩の下位にある柔らかい片岩が荒川の浸食でできた空洞で、1万2千年前縄文時代草創期の狩猟キャンプ跡らしい。
洞窟遺跡から下り、神岡橋で彩甲斐街道に戻る。道の駅・大滝温泉までは歩道がある。
さらに進むと右滝沢ダム、左二瀬ダムのT分岐がある。推奨コースは左に行くが、滝沢ダムの
余談をする。滝沢ダムは、二瀬ダムの北北西約1.8kmの荒川支流中津川にあり、初期湛水中に貯水池周辺で多くの地すべりが発生し、完成が3年遅れの平成23年(2011)に延びた。H=132m、L=424m、V=167万㎥、総貯水容量6,300万㎥のコンクリート重力式ダムである。
T分岐を左方の二瀬ダム方面に向かう。
三十槌の氷柱は、標高400mの地で山肌を伝う岩清水が冬季凍結してできる天然の氷壁で、高さ30m、長さ30mほどになるとのことである。
道路は二瀬ダムの天端に上るため勾配がきつくなり、ヘアピンカーブとなる。
終点の二瀬ダムは、国交省所管で埼玉県最初の多目的ダムである。H=95.0m,L=288.5m,V=35.6万㎥、総貯水容量2,690万㎥のコンクリートアーチ式ダムである。ダムは河口から150km、水源まで23kmとされている。前述の浦山ダム・滝沢ダムと合わせて「荒川上流ダム群」と総称される。
二瀬ダムから帰りの交通は、秩父湖バス停から西武観光バスに乗り、秩父鉄道・三峯口駅で乗り換える。