このコースは川幅日本一の標識がある御成橋から、荒川水管橋・熊谷桜堤を経て明戸床止めに至る左岸堤防上約25kmである。少し距離があるが、終点の明戸床止めの大規模土木工事を是非含めたかったことによる。推奨コースのルートを図-1.4に示す。2.5万分の1地形図は鴻巣・東松山・熊谷・三ヶ尻である。コースはほぼ全て堤防上で、終点付近が堤防のほぼ終りとなる。
JR高崎線・鴻巣駅から東武バス東松山駅・川越駅行で馬室停留所に行き、御成橋に向かう。
御成橋の両岸とものたもとに川幅日本一と大きく書かれている(写真-1.13)。川幅は2,537mである。これは堤防間の距離だそうだが、河川敷には広々と農地が広がり平常時に水が流れているのはせいぜい20~30m幅である。河川敷には花畑があり、毎年5月には麦なでしこやポピーが咲き乱れる「こうのす花まつり」が開かれ,コスモスアリーナふきあげ近くでは、秋はコスモスが見頃となる。
馬室バス停から御成橋のすぐ手前を右折してサイクリングロードに入り、左岸堤防上を行く。
鴻巣市は毎年10月初旬に荒川河川敷で「こうのす花火大会」を開催している。この花火大会の売りはトリを飾る四尺玉で、2014年にギネス世界記録が認定されたということである。
堤防に上がるとすぐ山並案内板がある。対岸方向の写真で左から富士山・武甲山・浅間山などが並んでいるが、確認できたのは富士山のみであった。
武蔵水路(写真-1.14)は東京の水不足を解消するため、利根川の利根大堰で取水して荒川に送るための長さ14.5kmの水路である。糠田排水機場は利根水路より荒川の水位が高くなった場合、強制排水するためのポンプである。
体育館である「コスモスアリーナふきあげ」はスーパー堤防上に建てられている。この敷地内に鴻巣市が進める「コウノトリの里づくり」で飼育施設を建設する計画がある。
荒川水管橋(写真-1.15)は埼玉県企業局の水道管専用橋で、完成は昭和59年(1984)、長さ1,100mで水管橋としては日本一長いそうである。14連の赤いアーチの鉄骨と黄色の水道管で見栄えがよく、コスモス畑とのコラボはいい風景であろう。
荒川パノラマ公園(写真-1.16)はスーパー堤防上の児童遊園地である。子供が喜びそうな遊具が並んでいる。
決壊の跡碑(写真-1.17)は昭和22年(1947)9月のカスリーン台風でこの付近が決壊したとのことで当時の埼玉県知事名の碑である。
旧久下橋は木製で幅3mと車がすれ違えず譲りあったことから「思いやり橋」と呼ばれ、親しまれたそうである。 現橋は長さ778mのコンクリート製である。
熊谷桜堤(写真1.18)は1.6kmにわたって二~三重並木で続く500本のソメイヨシノで、桜名所百選に入っている。見事な桜並木である。熊谷大橋より上流にも並木は2.3km続くが単列とまばらで、見物する人は下流側に行ってしまうのではなかろうか。
対岸の話になるが熊谷大橋の右岸たもとにはトラス橋広場があり、旧橋のトラス鉄骨が展示されている。
これより先、道は段落としをするように狭くなっていく。
大麻生陸閘(写真-1.19)は道路のために切りかけになった堤防の機能を果たす構造物であるが、挿入する門扉は結構大きなもののようであるがどこに置いてあるのだろうか。
押切橋のもとになった押切という地名は「川の流れが強くて押し切られた」に由来すると言われている。
明戸床止め(写真-1.20,21)は川底が深く削られるのを防ぐための構造物で、国交省が平成21年(2009)に完成した。中央付近に魚道が設けられている。下流の秋ケ瀬取水堰では稚アユは順調に遡上しているが、この明戸床止めを境に上流の寄居・秩父ではアユが不漁となっており影響が出ているらしい。アユにはあまり好ましくない魚道なのであろうか。