都営新宿線荒川中川橋梁から、荒川右岸堤防を堤防上や河川敷のサイクリングロードで四ツ木橋・堀切橋・日暮里舎人ライナー・新田スーパー堤防などを経て、岩淵水門(隅田川への分岐)までの約19kmのコースである。コースのルートを図-1.2に示す。2.5万分の1地形図は東京首部・草加・赤羽である。
荒川放水路(22km)は昭和5年(1930)に完成したが、元は隅田川に流入していた荒川の流路を開削した人工河川へ導いたものということである。放水路であったのを昭和45年(1970)に「荒川」と改称されている。
都営新宿線・東大島駅から線路沿いに3分で右岸堤防となり小松川千本桜の碑がある。この東大島辺りでは、日本化学工業の跡地を地下鉄用地に利用したとのことで六価クロム汚染土壌が問題となったことがある。
堤防上には「小松川千本桜」の桜並木と立派な石碑 (写真-1.1)が立っている。このあと桜並木は上流の小松川大橋手前まで連続する。花見シーズンはさぞ賑わうのであろう。
図-1.2中に「荒川之下流三十景その○ ○○之景」といくつか記しているが、これは立看板でその周辺地区の観光案内をイラストマップ付で紹介したものである。荒川独特のもので、内容も充実しており好企画の案内板だと思う。ただし、掲示場所が堤防上とは限らず、左岸側であったりするので、30景全部を見つけることは難しかった。
対岸には首都高速の高架橋が川と平行して走っており、上流の鹿浜橋まで続く。
JR総武線橋梁付近の堤防上から東京スカイツリーが遠望できるようになる。これは隅田川の左岸にあるはずなのでまだ数kmの距離があることがわかる。
平井大橋は蔵前橋通りに架かり、荒川の東側に隣接して流れる同じ一級河川の中川とあわせた橋長は600m超もある。
京成押上線橋梁付近の河川敷に「ヒヌマアカトンボを守ろう」の看板がある。絶滅危惧種である。
四ツ木橋(写真-1.2)は水戸街道(国道6号線)に架かる橋長452.7mのアーチ橋で、そのすぐ下流に増設された新四ツ木橋がある。前者は昭和14年(1939)に着工したが、太平洋戦争と戦後の資金不足のため中断し、昭和27年(1952)にやっと開通している。
首都高速・新荒川橋近くの堤防上道路に千住曙町橋梁があるがここにロックゲートがあり、隅田川との船の通行ができるようになっている、隅田川の蛇行部との距離が約300mと近接しており、このような近接は以後数回あって岩淵水門で接することになる。
堀切橋は、土木学会の「土木推奨遺産」に認定されている。この堀切橋から河口までの約10.5kmの左右岸は高潮堤防である。
船宿と係留されている屋形船が見える。
東武伊勢崎線、JR総武線、東京メトロ千代田線の3線の橋梁が接近して並んでいる。真ん中の橋の架け替えの時は難工事になるだろうなと余計な心配をした。
西新井橋を過ぎると、左手に墨田川が接近してくる。以後蛇行しながら江北橋、鹿浜橋付近でも近接し、岩渕水門に至る。
日暮里舎人ライナー橋梁(写真-1.3)は東京都交通局が運行する新交通システムで、他の橋梁よりかなり高い位置にあり、存在感がある。日暮里・見沼代親水公園間9.7km、13駅あり2008年に開業した。
五色桜大橋をくぐるとすぐゆうゆう公園があり、トイレとベンチがあって休憩によい。小規模ながら荒川の五色桜と言われる桜並木もある。五色桜は品種名ではなく、新聞に「五色に彩られ」と紹介されたことに始まると言われる。ワシントンのものは江北五色桜から接穂ツギホがとられて生育された。隅田川が近接している。公園の上流端に阿弥陀の渡船場跡の説明書きがある。隅田川が荒川の方に大きく彎曲している様子を天狗の鼻と呼ぶらしい。
高規格堤防特別区域の看板の先にマンション群が見える。堤防の上の土地でも利用可能と制限緩和された高規格堤防で、スーパー堤防と呼ばれる。国交省が唱える「特定高規格堤防整備事業」の典型であろう。マンションが並び整備が終わった河川敷公園とともに良い住環境になっている。このスーパー堤防は、荒川では要整備174.1kmとのことであるが、1987年にこの事業が開始されて25年後でも完成率6.3%だそうである。この事業に全国で整備した総延長は50km、総事業費7000億円で、前政権の事業仕分けでターゲットとなった。その後計画は縮小されたが、それでも総工費10兆円,完成は300年後ということである。新田スーパー堤防(写真)は上流側に過ぎてから振り返ると構造がよくわかる。
鹿浜橋上流の東京都民ゴルフ場は、河川敷ゴルフ場発祥の地と言われ1955年に開業した。「世界の青木」と呼ばれた青木功が中学卒業後キャディとして就職しプロテスト合格しここから羽ばたいた。2019.10.12に関東地方を襲った台風19
号の豪雨で水浸し大量のヘドロのため廃業することが決められた。
終点の岩淵水門付近は、これだけを見物に行っても面白い。荒川から隅田川への流入をコントロールする水門で、「青水門」(写真-1.5)と呼ばれる。上流側の中之島公園に旧岩淵水門の「赤水門」(写真-1.6)、がある。そのそばにある国交省の「荒川知水資料館(愛称amoa)」で治水の歴史・現状を見られる。
Amoaの前にある中川の新志茂橋を渡り市街地を通って約1km、15分で地下鉄南北線・赤羽岩淵駅に行く。
JR埼京線・京浜東北線・宇都宮線・高崎線の赤羽駅も近い。