東武アーバンパークライン・川間駅から東武線鉄橋脇で左岸堤防に上り、金野井大橋を右岸に渡って庄和排水機場(龍Q館)を経て、関宿水閘門で左岸に渡り関宿城までの約20kmのコースである。コースのルートを図-5.4に示す。2.5万分の1地形図は野田市・宝珠花・下総境である。
東武アーバンパークライン橋梁(写真-5.22)はいかにも鉄道橋でいい形をしている。
東武アーバンパークライン橋梁から金野井大橋にかけての対岸の河川敷は広く、ここでは毎年5月3日と5日に春日部市の「大凧あげ祭り」が行われるらしい。縦15m・横11m・畳100畳分で重さ800kgの大凧を100人以上で揚げる祭りということである。
金野井大橋を右岸に渡る。この橋は堤防から橋を利用する人のことなど全く考慮されておらず、左右岸とも大きく迂回しなければならない。
庄和排水機場(写真-5.23)の中に地底探検ミュージアム龍Q館がある。これは首都圏外郭放水路の展示館で、隣接するグラウンドの地下に調圧水槽がある。首都圏外郭放水路は埼玉県東部の国道16号の地下50mに建設された延長6.3kmの地下放水路である。この周辺の低地の洪水被害防ぐため、直径30m・深さ70mの5本の立坑で水を地下に取り込み、直径10mの地下トンネルで江戸川近くまで導き、長さ177m・幅78m・高さ18mの調圧水槽に貯留し、江戸川に放流する大規模な施設である。この調圧水槽は予約すれば見学できるとのことで、内部は天井を支えるコンクリート柱(奥行き7m・幅2m・高さ18mが59本)立っていて地下神殿と呼ばれている。平成14年(2002)に排水を開始し、平成18年(2006)に完成している。放水路に水が入るのは1年に平均7~8回と言われる。興味ある施設であるが見学時間帯とのタイミングがなかなか合わない。
左岸金野井大橋と宝珠花橋の中間の広い河川敷を利用して関宿滑空場がある。グライダーは軽飛行機に曳航されて600m位で切り離されるらしい。価格は2人乗り計器付きで1500万円ほどで、他に格納庫駐機料や滑走路使用料などもかかるということである。右岸にも宝珠花橋のすぐ上流にグライダー滑空場(写真-5.24)がある。
宝珠花水位観測所は東京湾から50.5kmにあり、測定開始は大正6年(1917)4月で今までの最高水位は昭和22年(1947)9月16日のカスリーン台風時で7.480mを記録し、計画高水位は7.806mと記されている。
惣新田地区ではスーパー堤防とは書いていないが堤防強化工事が施工中で、水と反対側の法面勾配は1:7である。
関宿橋まではサイクリングロードであるが、これより上流は管理用道路となるとしている。歩きに変化はない。
途中「棒出し」の説明がある。昔の流路の逆川から江戸川に流れ込んで洪水となるのを防ぐために、川の両側から丸太棒を数千本打って川幅を狭め、江戸川に入りにくくした工法のことである。江戸川沿いは守られたが、逆川流域は洪水が多発したらしい。
西関宿水位流量観測所は海から58.0kmにあり、観測開始は大正10年1921)、過去の最高水位は昭和22年(1947)カスリーン台風時の8.930mだということである。宝珠花水位観測所と比べ7.5kmの距離で約1.5mの水位差があったことになる。
山王地区防災ステーションは、右岸スーパー堤防上にあり主に治水防災を担うのであろう。一般の人は通行できないが左岸と結ぶ専用橋がある。
江戸川が利根川から分流する位置のすぐ下流に中之島という中洲がある。中洲の西側が江戸川で、東側は涸れ川となっている。そこに中之島公園があり、その公園内に関宿水門と閘門が並んでいる。江戸川に流れる水量を調節することと、船をと安全に通すことを目的に昭和2年(1927)に完成した。水量制御の水門(写真-5.25)は8つのゲートが あり現在も機能している。その右岸側端に幅10mの閘門(写真-5.26)があり、動くようにされてはいるがイベントなど特殊な時に使用するのみで、実用はされていないとのことである。土木学会は土木推奨遺産に認定している。
関宿城博物館(写真-5.27)は、利根川右岸と江戸川左岸とに挟まれた野田市関宿三軒家のスーパー堤防上に建設された千葉県営の施設である。治水の歴史を中心とした博物館である。関宿城はその地理的位置から、利根川・江戸川の水運に関する管理を任されていた藩(久世氏)が、城主であった。博物館の展示は治水関連のものが多い。
このコースはここが終点で、関宿城博物館バス停から朝日バスで東武アーバンパークライン・川間駅に行く。